未来のアスリートを育む鹿児島工業高校「運動場整備工事」

今回訪れたのは、部活動が活発なことで有名な「鹿児島県立鹿児島工業高等学校(以下、鹿児島工業高校)」の運動場整備工事の現場です。
鹿児島工業高校は校舎や運動場の改築を段階的に行なっており、今回南生建設は運動場の整備工事を担当しています。(平成26年には校舎の改築も担当しています


こちらは工事着工前。かつてはここに旧校舎が建っていたそうです。

今回の工事は南生建設だけでなく、ナンテック工業(株)、坂本建設(株)の3社で行われています。

3社での工事とはいえ、平面的な現場なこともあり、3社で協議して一括で施工しているそうです。

9月25日撮影

現場作業がはじまったのは今年7月から。工事は順調に進んでおり11月下旬には工事が終わるそうで、私が訪れた10月上旬には工事は終盤に差し掛かっていました。
完成時にはこの運動場がサッカーコート、ソフトボールコート、ハンドボールコート、テニスコートなどに使われるそうです。



■ICTを用いた先進的施工

この現場で特徴的なのは、なんといってもICTを用いた施工です。

資料提供:太陽建機レンタル株式会社

ブルドーザーで地面を均す際、従来であれば位置決めや操縦者の技量が重要で、それこそ多くの職人さんたちの技が必要でした。
一方、ICT施工の場合、ICT対応したブルドーザーに3次元設計データを送っておくと、重機の操縦は必要なものの、機械の自動制御により、通った箇所の地面の高さをmm単位の精度で均一に仕上げてくれます(本来その作業に熟練の技が必要)。これにより職人さんの技に頼らずにスピーディーな施工が行えます。

土木業界に限ったことではありませんが、職人さんの高齢化が進み、技術を持った職人さんは色々な現場で引っ張りだこです。今後「職人さんが呼べないので工事が進められません」という事も起きうるのですが、その解決策のひとつとしてICT施工は期待されています。


■ICT説明会を開催

現場が学校かつ工業高校ということで、工事期間中(2024年10月7日)、建設技術系2年生38名を対象に「ICT説明会」を開催。ドローンを使った測量や、施工に使ったブルドーザーなどを生徒さんに見てもらい最先端の土木を体感してもらったそうです。普段触れることのないドローンや重機に生徒さんたちも興奮。積極的な質問が飛び交ったそうです。
また、講師となった現場監督の宮嶋翼さんは今回の説明会を通して「教えることの難しさを生徒さんたちから教えてもらった」と新たな気づきを得たようです。

今件に限らず、南生建設は学校での工事がある場合、どういった工事を行なっているのか説明会を開催しているそうです。こういった説明会を通して土木への関心が増し、将来土木業界で働く人も増えるかもしれませんね。


■母校の工事に参画した「田尻優璃」さん

今回の工事を担当している南生建設田尻優璃さんは、ここ鹿児島工業高校の卒業生
今年3月までこの高校に通い、南生建設に入社して最初の現場が「鹿児島工業高校運動場整備」だったそうです。

「まさか自分が母校の工事に携わるとは思ってもみなかった」と田尻さん。この運動場にかつて建っていた旧校舎の姿も知っていることから、「このように綺麗に生まれ変わった運動場整備に自分が関わることができて嬉しいです」と語ってくれました。知っている先生もたくさんいることから楽しく現場に来ている反面、毎日襟を正す気持ちで仕事をしているそうです。

今回はまだ新人ということで、先輩社員の宮嶋翼さんに工事の段取りや作業準備などひとつひとつ教えてもらい経験を積んでいます。

また、現場の3社合同で毎月発行している「安全協議会新聞」も田尻さんが中心になり執筆しています。

資料提供:太陽建機レンタル株式会社

「今どういう技術を使ってなんの作業を行なっているのか、生徒さんや地域の方々に知ってもらいたい」という思いで、毎回宮嶋さんに尋ねながら作業を咀嚼して執筆しているそうです。

この新聞は校門に貼り出されており、行き交う人々が工事作業を把握する助けになっています。

仕事が楽しい!と声を弾ませる田尻さんは、経験を積んで、ゆくゆくは「橋や道路も手掛けてみたい」と夢を語ってくれました。南生建設期待の新人さんです。


■この現場のみなさま

南生建設のおふたりが明るくとてもフレッシュな現場でした。
工事完了まであと少し。事故のないようどうぞご安全に!


今回の現場

施工管理:南生建設
写真・文:小島健一

PHOTO LIBRARY現場レポート by小島健一
見学家小島健一が訪れた、鹿児島県の建設会社「南生建設」の手掛ける現場のレポートです。月に1度くらいの頻度で更新予定。